| 投稿者名: 竹村直美
桜も咲き始めた令和8年3月26日木曜日20時より、神奈川県歯科医師会会員の皆様に向けたオープンセミナーを開催した。
今まで我々は毎年、神奈川県歯科医師会会員、他地域の医療関係者に向けて認定スポーツマウスガードセミナーやオーラルアプライアンスセミナーを開催して、スポーツ歯学の認知、スポーツマウスガードの普及に努めてきた。今回、初めての試みとして神奈川県歯科医師会会員の皆様に向けて、オープンセミナーを企画、開催した。
第1回目の講師として小児歯科専門医である島津貴咲先生をお迎えした。島津先生は日本歯科大学生命歯学部小児歯科学講座で助教、講師を務められた。2022年に東京都久我山に「杉並ペディアトリック歯科」を開院し地域医療に貢献するとともに、日本歯科大学小児歯科学講座 非常勤講師を務められている。著作や講演も多く、活躍されている先生である。(私の日本歯科大学硬式庭球部の後輩でもある)
オープンセミナーはWEBで配信される形式で行われたが、会場にも数人の会員が足を運んでいた。
まず嶋村理事長より開会のあいさつとSHP.Dentかながわの活動について講演があった。
その後島津先生の講演となった。
今回は「小児の外傷および小児の成長発育」と題しお話ししていただいた。一般の歯科ではなかなか遭遇しない、しかし救急で駆け込まれることのある小児の外傷は子ども本人はもちろん保護者も動揺していることが多い。その状況で我々医療者が落ち着いて対処し、的確な予後説明をすることが必要になってくる。そのためには事前に正しい対処法の知識が不可欠となる。
最初に診るポイントは?
乳歯の亜脱臼、脱落、嵌入、歯槽骨骨折に対してどのような処置をするのが良いのか?
正しい判定のためのレントゲン撮影はどうしたらよいのか?
島津先生はそれぞれのケースに対して詳細にご説明され、出席された先生たちからは「目から鱗」の情報を得ることができ、感激したとの感想をいただいた。特に乳歯の嵌入に関しては引き出して固定するなどの処置はせず、経過観察することで数か月後に元の長さに戻ることが症例によって示された。レントゲン撮影は子ども本人にフィルムを咬ませて照射角度を調整することできれいな画像を得ることができるなど臨床のヒントが得られて、有意義なセミナーとなった。
学童期の口腔外傷に関してはスポーツ、特にサッカーによる外傷が多くスポーツマウスガードの使用が勧められること。顎骨成長を考慮すると半年に一度の再製作が必要なことなどが説明された。
また、島津先生のご主人が獣医で、動物の歯周病についての研究者であることから、動物園での活動も提示され、興味深かった。
次にSHP.Dentかながわの品川副理事長が「学童期のMG製作のポイント」(外傷歯の保護を目的として製作した口腔内装置)と題し、講演が行われた。2月に行われたミラノ・コルティナ冬季オリンピックの選手のMGを例に出し、コンタクトスポーツだけでなく頭部への衝撃緩和、転倒時の外傷予防の観点から学童期のいろいろなスポーツにMGが必要なこと、その時の製作方法、素材・厚み、デザインについて講演が行われた。また、外傷既往の場合には保険でMGの製作が行えることが確認された。
今回は初めてのオープンセミナーということで、参加者は多くはなかったがその内容はとても有意義なものであったと自負している。
今後も定期的にオープンセミナーを開催し、神奈川県歯科医師会会員の皆様に情報を発信していこうと思っている。


