91歳の現役アスリート!その素顔!!

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2022年11月23日、第51回テニス・メディカルセミナーが開催されました。今回で51回目となるこのセミナーは日本テニス・スポーツ研究会が主催し、(公財)日本テニス協会が共催しているものです。日本のテニス界を医学の分野から支える第一人者のドクターやトレーナーから話が聞けるとても有意義なセミナーです。私も一応メンバーとして、参加させていただいております。毎回、テニスプレーヤーが故障しやすい、ひざ痛、腰痛、テニスエルボーと言われるひじ痛の最新の検査、治療、リハビリの話や栄養学、メンタルコンディショニング、熱中症、婦人科の問題などテーマは多岐にわたっています。毎回とても興味深く、勉強になる会で、一般の方の参加も可能です。

今回のテーマは「年代別のテニスと腰痛」「患者様との対談と総合討論」となっていました。腰痛の話では腰痛の原因や最新の治療法、腰痛にならないような体の使い方の講演などとても興味深いものでした。

 

セミナー風景:腰痛予防エクササイズ
セミナー風景

今回表題に挙げた、91歳の現役プレイヤーとは「患者様との対談」の中で「マスターズ」と題してお呼びした方のことです。

彼女は時間になってもいらしていませんでした。91歳というご年齢。体調でも崩されたのだろうか?少し心配していたところ、若い女性(トレーナーさんでした)と一緒に登場したのは小柄なかわいらしい(失礼!)な方でした。彼女の遅刻の理由はその日、国立競技場で行われていた陸上の大会に出場していたため。小雨の降る気温11℃の寒い日。そんな日に100mの競技を終えてから駆けつけてくださったのでした。

遅れてすみません。と言いながらスライド横に立った彼女は背筋をピンと伸ばし、その姿勢も語り口もとても91歳とは思えないものでした。お名前は齋藤恵美子さん。女学校時代に軟式テニスを始め、42歳で硬式テニスに転向。薬剤師の資格をお持ちで厚労省でお仕事をされ、89歳まで週1回教鞭をとっておられたということです。その間もテニスを続け、62歳から世界大会に連続出場。83歳でのトルコ大会で準優勝。全日本テニス選手大会85歳以上の部で2連覇するなど輝かしい戦績を挙げられているのです。

それだけではありません。84歳から千葉県のラクーン健康プラザで加圧トレーニングを始め85歳から陸上の短距離を競技としてスタート。すぐに世界記録を樹立し、セミナー当日も世界記録を更新しようと陸上の大会に臨んできたとのことです。今でも加圧トレーニングと毎週金曜日は2時間かけて埼玉県飯能市の土橋コーチのもとに通い、テニスのレッスンを3時間(!)受けているというのです。

 

私にとってはすべてがびっくりで、しばらく彼女の経歴とお話に聞き入ってしまいました。何を隠そう私の夢は85歳で全日本の大会に出ること。それを悠々とやっている方が目の前でお話しされているのです。

2016年100m優勝
2017年400m世界記録達成
斎藤恵美子さんと記念写真

講演の後、お話を伺うと「今年の全日本テニス大会と広島の大会にも出てきました。お友達に会うのが楽しくて!全日本ではダブルスとシングルスにエントリーして、ダブルスは組んでくれる人がいて楽しくプレイできたけど、シングルスはほかに選手がいなくて成立しなかったので残念でした。」とお話しされていました。なんともうらやましいというのか素晴らしいというか驚きです。

今後の目標をお聞きしたところ、「杖の代わりにラケットを持って歩き回りたい」とおっしゃっていました。このご様子では日本のみならず世界中を飛び回って、まだまだご活躍されそうです!

日本スポーツ協会の調べによると、日本では女性のスポーツ参加は諸外国に比較してまだまだ低く、スポーツ基本法に基づき2017年に制定された第2期スポーツ基本計画でも女性の活躍促進が謳われています。また男女問わず、健康寿命を延ばすためにも高齢者のスポーツ参加が奨励されています。彼女はお仕事をされながら、テニス、陸上に勤しみ、その上世界レベルの結果まで残しています。今後もお元気でさらにトレーニングを続け、記録を伸ばしていただきたいと思います。

彼女の今後に注目です!!

加圧トレーニング風景

写真はご本人、千葉県柏市健康プラザラクーン加圧トレーニングの了承を得て、掲載させていただいております。

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